食材の宝庫淡路島で、料理をクリエイトする喜び|「タペの島キッチン 〜虹カフェ〜」 中村ゆかさん

公開日 : 2023.09.01

 洲本中心市街地から車を10分ほど走らせると、市街地の様子からは想像できないほど美しい田舎の風景が残る中川原という集落に到着します。この場所にあるチャレンジショップ物件を借り、この夏から島食材をふんだんに使った料理を提供する「タペの島キッチン 〜虹カフェ〜」をオープンさせたのは、大阪から移住された中村ゆかさん。新居にする予定の古民家も同じ中川原で見つけたそう。

 そんなラッキーウーマンの中村さんに、今回は、洲本でお店を開くことになった経緯や、中川原での暮らしについてお伺いしました。

タペの島キッチン〜虹カフェ〜
【プロフィール】
中村ゆか(56歳)
※年齢は取材時点(2023年7月)

コロナ禍を機にキッチンカー営業に転身

中村さん19年前からランチメインのカフェ、前菜バー、PUBレストランなど飲食業一筋で働いてきた。だけど、コロナ禍の時短営業などの制限で店舗営業が思うようにできなくなった。なので、思い切ってキッチンカーに転身したんです。それまでは、お店を回すことしか考えていなかったんですが、キッチンカーをはじめてから価値観が変わったというか、飲食の仕事でも場所や時間にとらわれなくても出来るんだっていう発見があった。

タペの島キッチン〜虹カフェ〜
中村さんのキッチンカー

 そんなとき、娘さんが就職で徳島に引っ越すことに。大阪から徳島に通うことが増え、島を通るたび、淡路島ってなんかいいなと思い、移住したいなという思いが徐々に膨らんで来た中村さん。移住相談の窓口に出向き、本格的に移住準備をスタートさせました。

 毎年夏は暑すぎてキッチンカー営業はお休みしているのですが、去年はその休み期間を使い、島のホテルの厨房での短期バイトに応募。移住前に島での仕事も体験しました。その仕事を通じ、淡路島食材の豊さを知り、島の食材を使って料理を作る喜びを感じたそう。

ゆっくり島暮らしの予定が、急遽カフェをオープン!?

中村さん子供も手を離れ余裕も出て来たので、大阪でキッチンカーをしながら、お休みの日は淡路島でゆっくり暮らすみたいな、二拠点生活のつもりで移住の準備を進めていたんですよ。そんな折、移住相談員の方から、自分たちが管理しているチャレンジショップのテナントさんがもうすぐ(2023年5月)退去予定で、次の入居者を探していると言うお話を聞いたんです。その時とっさに、

あんな素敵な場所、夏の時期に誰も使っていないなんて勿体無い!私がお店をやります!! と言って立候補してしまいました(笑)

そんなこんなで、島でお店をやらせてもらえることになり、今年の7月からこの場所に来て開店準備を始め、無事7月21日にオープン出来ました。

ーそんな短い期間でお店をオープンできるなんてすごいです。何か秘訣はあるんですか?

中村さん店舗の立ち上げは何回もやっているので、ある程度慣れているんです。あと、この場所は元から厨房設備やテーブル・椅子などの什器も揃っている。だから通常のお店より準備しやすかった。こんな素敵な物件を貸していただけるなんてとっても感謝しています。

淡路島のまだ知られていない食材のおいしさを伝えたい

中村さん淡路島に来て、本当に食材が豊かだなあと感じる毎日です。素材がいいから、味付けも最低限でいい。素材の味を引き出すような味付けを心がけています。大阪の人は淡路島食材といえば「玉ねぎ」「淡路牛」くらいしか知らないけれど、島に来て思うのは、淡路島の野菜がとても美味しいと言うこと。

タペの島キッチン〜虹カフェ〜
淡路牛すじアイリッシュカレーには島で仕入れた野菜のサラダや副菜が添えられている

まだ島に来たばっかりなので、仕入れは産直がメインですけど、ゆくゆくは農家さんからの直接仕入れも増やしていけたらと思っています。だけど、有名な農家さんの野菜を使うと言うよりかは、食べて美味しかったものを、きちんと仕入れたいという気持ちでいます。新規開店が久しぶりなので、一からお店づくりが出来ることに今、とてもワクワクしています。

タペの島キッチン〜虹カフェ〜
中村さんのセンスでコーディネートされた古民家物件

秋からはキッチンカー営業も復活予定なので、淡路島食材のお料理を大阪で販売するのも楽しみです。関西の人に淡路島の知られざる食材を紹介していきたいですね。そして、キッチンカーのお客さんが淡路島や、このお店に遊びに来てくれたらうれしい!

ー最後に、洲本市や中川原での暮らしについてお聞かせください。

中村さん中川原は田舎の風景が残りつつ、車で10分で洲本の市街地に行けるので仕入れが便利で助かっています。少し車を走らせれば海もある、高速も近いので、大阪との行き来もしやすい。周囲には何もないですが、意外と便利なところなんですよ。

タペの島キッチン〜虹カフェ〜
淡路島の天然藍染工房AiAii(アイアイ)さんにオーダーした暖簾が涼しげ
タペの島キッチン〜虹カフェ〜
開店祝いのお花は向日葵

編集後記:出会った瞬間に、お店に飾っていた向日葵のような笑顔で迎えてくれた中村さん。淡路島に来て、素晴らしい素材を日々発見し、料理することを楽しんでいる様子がひしひしと伝わって来ました。近年、料理人の移住が増えている淡路島。海も山もあって、酪農も盛ん、島内で手に入らないものはないのでは!?と思うほどに地元食材のバリエーションが豊かです。凝った料理が苦手な私も、食材自体が美味しいので、焼いた野菜に美味しいお塩を一振りで立派な一品になるので、日々助かっています(笑) 移住希望の方はぜひ、地元のスーパーや産直などで様々な地元食材をチェックしてみてくださいね。

店名タペの島キッチン 〜虹カフェ〜
住所兵庫県洲本市中川原町中川原92-1
アクセス淡路島中央SICから約3km
電話090-5668-8347
営業時間10:30〜16:00
定休日月〜水曜日
駐車場あり
公式サイト https://www.instagram.com/tapes.stand_tapeole/
※掲載の内容は2023年8月取材時点の情報に基づきます。変更される場合がありますので、おでかけの際は事前にご確認ください。
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