ワンストップ就農相談会|月に1度、就農希望者支援のために専門家が集結

公開日 : 2023.09.07

洲本市内で就農を希望される方向けに、南淡路農業改良普及センター、淡路日の出農業協同組合、洲本農林水産振興事務所などと連携し、毎月就農相談会を開催しています。
今回は、各機関が協力して就農相談会をはじめた経緯や支援体制について紹介します。

相談員メンバーの紹介
(右から)細川主査(洲本市農政課)、奥田職員(南淡路農業改良普及センター;洲本市野菜担当)、泉普及主査(南淡路農業改良普及センター;洲本地域全般担当)、前田課長(南淡路農業改良普及センター;経営課長)、上谷課長(淡路日の出農業協同組合;営農販売課長)、國芳事務局長(洲本市農業委員会事務局)、岡野集落営農育成員(洲本農林水産振興事務所)、大傍係長(洲本市農政課)。
相談内容次第では、南淡路農業改良普及センターの畜産担当が出席したりとメンバーは流動的。

 

就農までの流れ

一般的な就農までの流れは、以下の通りです。

就農相談会が担っているのは、主に①就農相談の段階です。
参加者によっては、就農準備~就農後でも、必要に応じて就農相談会に参加してもらっています。就農希望者にとっては一つのよりどころになることも。

 

相談件数の増加とともに変遷した相談体制

就農相談会がスタートしたのは令和4年1月。コロナ禍でこれまでの生活様式が一変し、就農を希望する方の相談が増えました。それぞれの支援機関が個別で対応していたものを、より効率的に支援できるように相談体制をワンストップ化しました。

南淡路農業改良普及センターのみなさん。
就農相談からほ場確認など、洲本市内の農業に対して、多岐に渡りサポートしてもらっています。

前田課長:平日の開催にもかかわらず、これまで多くの相談者とお会いしました。それぞれ就農を目指している事情が異なり、書面では伝わらない相談者の人となりを支援機関間で共有できるのは大きいです。

そう話すのは、相談会の舵取り役として相談者に対し真摯に耳を傾け、広い知見からアドバイスをしてくれる前田課長(左から一人目。南淡路農業改良普及センター)。新規就農者が作成する計画の作成支援など、農業の担い手育成・農業経営全般に対して支援をいただく。

 

岡野集落営農育成員:各担当者の立場を生かし、それぞれが持つ知識をもとにアドバイスができる現在の体制は、相談者にとってより一層有益な時間になるのではないかな。
担当者の中には、地元民もおり、地域に精通しているからこそ伝えられることもある。

洲本市出身の岡野集落営農育成員(洲本農林水産振興事務所)。長年行政に携わり、洲本市農政にも関わってきた経験、地元目線でのアドバイスは非常に参考になります。

 

相談者に強く求めることは、“農業=起業”という意識

これまで多種多様な相談内容に対応してきましたが、皆さんに共通して言えることがあります。就農を進める上で、避けては通れないことを教えてもらいました。

南淡路農業改良普及センターのみなさん:                            農業は簡単にできると思われがちだが、実際はそうではない。栽培技術だけではなく、機械投資をはじめとした資金力、経営スキル、市場の動向に合わせた経営判断など、農業は会社を経営するのと同じこと。農家さんはまさに社長なんです。だからこそ、就農を希望する方には、その意識と覚悟を持ってもらいたい。

 

前田課長:相談会に参加する際は、最低限の情報収集などの準備をお願いしたい。例えば、淡路島の農業や自分が希望する品目のこと、それをどのくらいの面積で栽培したら経営が成り立つのかといったシミュレーションを行うなど。自身が農業者になった立場で下調べしてあると、こちらもより的確なアドバイスができます。

 

上谷課長:“何を作りたいのか、どう売りたいのか”を明確にしておくことが重要。売り先を確保しておくとなおさら良い。理想論で農業をしたいという漠然とした相談を受けることもあるが、なかなか厳しい現状がある。また良好なコミュニケーションをとれることも欠かせない。洲本市で農業をするには、地域との関わりが必要になってくる。

そう説明してくれたのは、上谷営農販売課長(JA淡路日の出)。自身も洲本市内でタマネギ、ハクサイ、キャベツ、水稲の栽培をしている。融資関係から栽培技術のイロハなど、相談者だけではなく他機関の職員でも“なるほど”と納得してしまう知識を聞くことができます。

 

奥田職員:補助金のことを質問する方が多いですが、多くの補助金は、いくつかの要件を満たす必要があり、誰でも利用できるわけではありません。使いたいと考えている補助金について、しっかり調べることをおすすめします。

 

『すもと就農3か条』に込められた想い ~※相談会に申し込む前に一読を※~

農業の担い手不足が深刻化している中、就農を検討してもらえることは非常にありがたいことです。一方で、就農に関する相談が増えるにつれて、農業に対する“イメージ”と“現実”との間にギャップのある相談者も増えました。ギャップが埋まらないまま就農した人の中には、思うようにいかず離農する方もいます。また、支援機関側も限られた人員でサポートしているため、なるべく就農する可能性が高い人をしっかり支援したいと考えています。
そこで、良いところばかりをPRするのではなく、可能な限り現実を伝え、できるだけイメージギャップを最小限に抑えた状態で、就農相談に参加してほしいと願っています。この想いから『すもと就農3か条』が誕生しました。

泉普及主査:支援機関のそれぞれの視点で何度も意見を出し合いながら作成しました。第1回の就農相談会に間に合わせるため、ギリギリまで精度を高めて仕上げました。各関係機関が一丸となって『すもと就農3か条』を作成した熱量で、就農相談会も対応しています。

 

上谷課長:新規就農希望者や移住者に対して、洲本市では当たり前のことを、どのようにして伝えるかという点に苦悩した。農業をする上で地域活動は外せない。その地域活動には、いくつかの組織体があり、それを分かりやすくするために、図式化するなど工夫した。地元出身者だからこそ分かる地域事情を盛り込み、批判覚悟で率直に厳しいことも書いています。実際に洲本市内で農業をするには欠かせないこと。就農を希望される方には、ぜひとも読んでほしい。

“あると心強い!” ~参加者からの声~

相談会を開始してからこれまで様々な相談者が参加。その中には、全く縁もゆかりもない洲本市の地で農業をすることに魅力を感じて就農を希望する人も多くいます。相談者の中には、就農した人もいれば、リタイアした人もいます。そんな相談者にとって、相談会とはどのような場所なのでしょうか。

現在、研修中の正崎さん。神戸市出身の移住者。
令和3年度途中から、兵庫県の農業インターンシップ研修を利用して集落営農組織で体験研修に参加。
令和4年度から集落営農組織の一員として雇用されながら本格的に研修をスタート。

正崎さん:就農までのスケジュール感、活用できそうな事業についてなど、一つの場所で多くのことを確認・相談できるのは大変便利。僕が移住して就農を目指したのは、洲本市に知り合いがいたからです。それでも全くの見知らぬ土地。そんな環境の中で、担当者が地元の人と顔をつないでくれました。今後の進め方など悩みが生じた時、気軽に相談できる場所があるのは非常に心強いです。

 

最後に、担当者からのメッセージ

就農を考えている方には、次の3つをお願いしたいです。

① 『すもと就農3か条』を熟読する


② 情報収集を行い、自身の目標とする農業を考える


③ 移住・就農する前に、まずは就農相談会へ参加


真剣に就農を検討している方には、私たちもしっかりとサポートします。

みなさんの参加をお待ちしています!!

 

参考① 『すもと就農3か条』掲載ページの案内

洲本市農政課HP内https://www.city.sumoto.lg.jp/soshiki/16/17084.html

 

参考② 情報収集の際に参考になるサイトの紹介

ひょうご就農支援センターの公式サイトには、就農を希望される方向けに、様々な情報が掲載されています。サイト内には、農業経営を試算するために経営シミュレーションを試すことができます。

ひょうご就農支援センターHPhttps://www.hyogo-shunou.jp/

 

【就農相談会への申し込みについて】

洲本市農政課HP上にある申込フォームから申し込み可能です。
※複数の質問に回答していただく必要があります。

申し込みURLhttps://www.city.sumoto.lg.jp/soshiki/16/16946.html
申し込み窓口洲本市農政課
住所〒656-8686  
兵庫県洲本市本町三丁目4番10号 本庁舎3階
電話(直通)、FAXTEL:0799-24-7638、FAX:0799-25-3590
時間平日 8:30~17:15
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