爆速のスピード感で「最強の農業」に挑戦する若き社長|奥野竜平さん(35)

公開日 : 2023.11.01

「洲本市は市役所や法務局、税務署といった役所機能がコンパクトにまとまっているため、起業する人にはとてもおすすめの場所です。実際、自転車で役所をはしごできるんですよ!」と教えてくれたのは、株式会社農社の代表取締役を務める奥野竜平さん。

前職の農業普及指導員時代に培った経験を活かし、洲本市にUターン移住後、「株式会社農社」(自社農場をベースとした農業コンサルティング、農業に関する研究開発事業を展開)を令和3年に設立しました。

今回は、経営者でもあり2児の父親でもある奥野さんに、洲本市で起業した経緯・事業内容や洲本市での生活をテーマにお話しを伺いました。

【プロフィール】
奥野竜平さん(株式会社農社 代表取締役)
35歳/Uターン移住/起業/子ども2人/前職は農業系公務員/趣味は魚釣り

「最強の農業」を目指すフィールドに選んだのは生まれ育った街・洲本

どこを拠点に起業・生活を始めるかと考えた時、当初は大きなこだわりはなく、洲本市への移住のきっかけも、シンプルに生まれ育った街であり、両親も住んでいるから。

しかし、いざ移住・起業と事が進むにつれて、洲本市の便利さを再認識したそうです。

奥野さん普及指導センター、農林業総合試験場で働いていた時は、上司や同僚にも恵まれ充実した日々を過ごしていました。ただ、組織で働くと、自分の意思と組織としての方針をすり合わせる必要があるため、どうしても時間がかかるケースが多かったです。そんな中、日々変化していく農業環境に対して、なりふり構わずに爆速のスピード感で「最強の農業」に挑戦したい!農家さんの力になりたい!新たな市場可能性を自ら生み出していきたい!と望むようになりました。洲本への移住前は、人口の流入が著しい都市に住んでいたため、車の渋滞が頻発、数キロの移動に30分以上かかることも珍しくなく、保育園の送り迎えも大変でした。対照的に洲本の市街地周辺は、渋滞もなく、さまざまな手続きで役所をまわる時、自転車を使っても1日でまわれる距離に役所が集中していて大変便利なんです。生活面でも大型スーパーやホームセンター、保育園、公園もすぐに行けるので可処分時間が増えました。

新たな特産品を作り出す!地域の人々と手がける3つのプロジェクト ~ワーク編~

それでは、奥野さんの具体的な仕事内容についてご紹介していきます。

淡路島と言えば“玉ねぎ”の生産が有名ですが、行政や農協が主導していない「小麦」や「枝豆」の生産に挑戦している奥野さん。あえて地域の特産品でない作物に注力しているのはどうしてでしょうか。

奥野さん淡路島は玉ねぎの生産地として全国的に広く知られていますが、何も栽培されていない農地も多く、いわゆる耕作放棄地が増えつつあります。既にブランド化されている淡路島玉ねぎの生産は引き続き推進すべきですが、地域と農家が抱えている課題の本質は何か。。と考えた時に、玉ねぎではない作物も必要ではないかと考えました。私達農社が目指すのは、省力的な生産で生産者がきっちり儲かる仕組みづくりを確立していくことです。それには販売先の確保は重要であり、生産者と販売先を繋げていくのが私達の役割です。

現在農社さんは、洲本市内で大きな3つのプロジェクトを手掛けています。

プロジェクトNO,1 「小麦で、つながる淡路島の“ワ”」プロジェクト

プロジェクトNO,2 「兵庫県育成エダマメ“ひかり姫”の栽培」プロジェクト

プロジェクトNO,3 「これからの農業を変える!スマート農業への挑戦」プロジェクト

それぞれのプロジェクトの内容について語っていただきます。

プロジェクトNO,1 「小麦で、つながる淡路島の“ワ”」プロジェクト

洲本市内の農家さんの協力を得て淡路島産小麦の栽培を行い、パンやクッキーの原料として使用しています。

淡路市浦にある人気のパン屋さん「Boulangerie Fleur(ブランジェリー・フルール)」(神戸淡路鳴門自動車道東浦ICから車で約7分)では、農社さんが手掛ける小麦を使用したパンが販売されており、洲本市内の社会福祉法人へはクッキーの製造を委託しています。

奥野さん淡路島は、古くから玉ねぎや白菜などの露地野菜栽培が盛んに行われていますが、露地野菜は重量があるため、特に高齢・女性の農家さんにとっては体への負担が大きくなります。そこで私達が目を付けたのが「小麦」です。淡路島は降水量が少なく小麦の栽培に適しており、米の収穫に使用するコンバインを使って小麦の収穫ができます。小麦栽培をお願いをしている農家さんやブランジェリー・フルールさん、社会福祉法人さんへは、飛び込みのような形でお話を持ちかけましたが、皆さん快く私達のチャレンジに協力していただけました。前向きに取り組んでいる方々と一緒に仕事ができているので、日々刺激があり、非常におもしろいです!

播種風景
収穫風景
収穫した小麦
「ハード食パン 島仕込み」
淡路島の形をしたクッキー

プロジェクトNO,2 「兵庫県育成エダマメ“ひかり姫”の栽培」プロジェクト

兵庫県には「丹波黒」という有名な大豆が存在します。その遺伝子を持ち、見た目も美しく優れた食味を持つ、兵庫県が育成したエダマメ専用品種「ひかり姫」。淡路島ではほとんど生産されていない品種を、農社さんはいち早く導入しました。

奥野さん「ひかり姫」を栽培して2シーズン目。まだまだ栽培技術は確立していませんが、昨年収穫した枝豆を食べてみると本当に美味しくて。子どもたちは、“パパの枝豆が一番美味しい”と言って、「ひかり姫」の収穫を首を長くして待っています。淡路島ではマイナーな枝豆栽培ですが、コツコツと生産規模を拡大し、需要拡大のための仕掛けを行っていく予定です。今年は「NTTコミュニケーションズ株式会社」と共同でドローンを活用した枝豆の生育監視の実証に取り組み、淡路島の枝豆栽培のポイントをまとめようと思っています。

「ひかり姫」のほ場
茹でた「ひかり姫」
イベントにて「ひかり姫」&クッキー販売

プロジェクトNO,3 「これからの農業を変える!スマート農業への挑戦」プロジェクト

農社さんは、兵庫県の委託を受けて「スマート農業技術マッチング推進事業」に携わっています。スマート農業への想いも含め、本事業の内容について語っていただきました。

奥野さん高度な技術・機能を有した農機を使うのがスマート農業だと捉える人が多いと思いますが、私達が考えるスマート農業は少し違います。現在行っている栽培方法を見直して、より効率化・省力化できないかと考えることがスマート農業への一歩だと思っており、私自身も農業従事者なので、そこを意識しながら日々の農作業にあたっています。先ほどご紹介したドローンを活用した枝豆の生育監視もスマート農業の1つの形ですが、その他にも1つ例をあげると、洲本市は山間部にも農地が広がっているため、畦畔の草刈りに多くの労力と時間を要しているので、今後はリモコン草刈機の実証実験を試したいと考えています。これからも、前職の公務員時代にはなかなか手出しできなかった、農家や地域にとって痒い所に手が届くようなアイデアを生み出していこうと考えています。そして、「スマート農業技術マッチング推進事業」とは、兵庫県の多種多様な農業生産現場が抱える課題と、企業が持つスマート農業技術をマッチングさせるというもので、私達の役割は、その橋渡しをするコーディネーターです。さらには、今年10月より洲本市五色町鮎原地区に研究開発拠点「農社スマートビレッジ」を設置し、スマート農業を学ぶ機会を提供します。これまでのコネクションを活かして、大学教授からスタートアップ企業まで、各方面の豪華な講師を迎え、計5回に分けて講座を実施し、日々進化する多様なスマート農業にも触れられる機会も提供します。ぜひ一緒になって学びませんか?きっとワクワクがとまらないはずです!

農社スマートビレッジの募集チラシ
リモコン草刈機

身近な山・海の自然にどっぷりと浸かった生活 ~プライベート編~

2児の父親でもある奥野さんは、休日に子どもたちと過ごすのが楽しみだといいます。普段どのような休日を過ごしているのかお聞きしました。

奥野さん洲本から阪神間や四国へは車で気軽に行けるのでたまに訪れていますが、淡路島外に出掛けない日は、子ども達と市内でのんびり過ごしています。市立図書館に行ったり、S BRICK内にある屋内広場で遊んだり、緑地公園で遊具を使ったり、ボール遊びをしています。時には、自社農場で草花摘みやバッタを捕まえることもありますね。春はいちご狩り、夏は三熊山で昆虫採集・大浜海水浴場で海水浴、秋はみかん狩り・さつまいもの収穫体験、冬はウェルネスパーク五色で凧揚げに興じたりと、特別感はないですが、身近で四季折々の遊びができるのは、洲本市の魅力だとつくづく実感しています。

大浜海水浴場
緑地公園

そして、奥野さん自身も“島活”を満喫されているようで。。

奥野さん個人的な趣味は魚釣りです。子どもを連れて釣りに行くこともあります。淡路島外の友人・知人が来た時には、船を出して釣りやクルージングをしますが、みんなとても喜んでくれます。釣果のない時もありますが、釣ってきた魚を子どもたちが喜んで頬張る姿を見るのが一番の喜びで励みです(笑)。

船釣り

最後に一言

奥野さん今回ご紹介しきれていない企画はまだまだあります。最新情報は公式Facebookページをご覧ください。“いいね”待っています!

農社さんの公式HPのQRコード
社名株式会社農社
電話090-3612-9101
公式サイトhttps://nosya.co.jp/
Facebookページhttps://www.facebook.com/people/株式会社農社/100076265498466/?ref=embed_page
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