淡路島洲本移住者インタビュー|自家染液を使う藍染作品のように、暮らしも“自分たちの色”に合わせて

公開日 : 2022.11.09

環境省の「快水浴場百選」にも選ばれている白砂青松の大浜海岸で、子どもたちとゆっくりと散歩を楽しむ岡田さん夫妻。岡田淳一さんとサリー・ハンコックスさんはここから徒歩すぐの「淡路島の天然藍染工房AiAii」を営みながら、3人のお子さまと洲本暮らしを満喫しています。

結婚後、ロンドン、南あわじ市を経て、洲本市に移住したお二人に、洲本への移住や日々の暮らしについて伺いました。

【プロフィール】
左:岡田淳一さん(42歳)
右:サリー・ハンコックスさん(37歳)
長男:杢兵衛(もくべえ) レオン君(6歳)
次男:円三(えんぞう)君(4歳)
長女:スカイ 菜七子 マジックちゃん(1歳
※年齢は取材時点(2022年10月)。
長男の杢兵衛 レオン君は不在でした。

島で暮らしてみて、思い浮かんだ移住先が洲本

取材日は子どもたちと一緒にインタビューに答えてくださいました

目の前の道路からは三熊山の洲本城天守も見える、海岸通の工房。岡田さん夫妻は元理髪店だった建物をリノベーションし、2020年に「淡路島の天然藍染工房AiAii」をオープンしました。

WEBデザイナーとして活躍する淳一さんは兵庫県明石市出身。アーティストとして創作活動に取り組むサリーさんはイギリス出身。お二人は大阪でのアート系イベントで知り合いました。

淳一さん妻の母国であるイギリス・ロンドンで約1年過ごしました。ロンドンは東京のような、まさに都会。気に入ったところはたくさんありましたが、もっとのんびりとした場所で暮らしても…と思うようになりました。妻も同じ考えだったようで、帰国を決めたのです。

サリーさん日本に戻ったら、ゆっくりと創作活動に集中できるような場所を探そうと考えました。

帰国後、「海が近くにあれば」という思いで移住先を探す中、約1カ月をかけて四国を巡り、帰り道に立ち寄ったのが淡路島でした。その後、淡路島南端の南あわじ市阿万地区で、古民家での暮らしをスタートされます。

サリーさん趣のある古民家には家の前後に広々とした庭があり、海も近く、自然いっぱいの環境でした。1人目の子どもが生まれ、よく庭で遊ばせていましたね。藍染を本格的に始めたのもこの頃です。

淳一さん広い家や海に近いロケーションはとても気に入っていましたが、買い物や通院などにはどうしても移動時間がかかってしまう立地でした。将来藍染の工房を構えるならいずれ場所を検討しないと…と思っていました。

サリーさんの壁画が印象的な工房

その後、ある日島内を移動しながら、「ふと、洲本がいいなと思った」と淳一さんは話します。すぐに不動産会社に相談し、大浜海岸にも近い、海岸通の物件を紹介してもらいました。

淳一さんすぐ近くに海があって、洲本城がそびえる山もあります。スーパーや市役所も徒歩圏内にあり、「便利そうだな」という印象を持ちました。物件は数年間空き家でしたが、工房としての広さを備え、リフォームすれば十分使えるものでした。自分たちで働きやすい場所にしていくワクワク感もあり、洲本への移住を決めました。

都会の利便性と豊かな自然がバランスよく同居する街

大浜海岸の砂浜を歩く岡田さん家族。夏は朝や夕方に海水浴も楽しむそう

洲本に移り住んで約2年。洲本での暮らしについて伺いました。

サリーさん長男が通う小学校や次男が通う幼稚園はすぐそば。生活圏にスーパーや市役所、公園なども揃っています。徒歩でのお出かけがぐっと増えました。病院にも近いので、子どもの体調が優れない時も安心です。

淳一さん休日や仕事の合間でも、大浜海岸や洲本市民広場には家族みんなでよく出かけます。気持ちいい景色が眺められる洲本城にも子どもを連れて行きますね。忙しい日々でも、海や山を眺めていると、ふと自分を取り戻せるような気がするんです。洲本は都会らしさもあり、田舎らしさもある、いい街だと感じています。

実家の明石や神戸・大阪にも車なら近く、洲本での便利さと快適さを感じている岡田さん夫妻。直売所などで手に入る、野菜などの新鮮な食材もお気に入り。「地元でとれたものを、地元で食べることは、子どもたちの食育にもつながるはず」と話します。

“自分たちの色“を生み出した、藍の栽培と染液づくり

自宅から車で20分ほどの場所にある藍の畑。葉を収穫し、乾燥、灰汁と合わせて発酵する「発酵建て」の方法で天然染液を作られています

岡田さん夫妻の両手が藍で染まっているのは、工房併設のショップを開く金・土曜日以外の日は、藍染作品づくりに勤しんでいるため。現在は洲本移住後に始めた藍の栽培にも取り組み、自家染液で染めたTシャツやハンカチなど、体にも環境にもやさしい、さまざまな藍染作品を制作されています。

サリーさん藍染は南あわじ市の古民家に合うカーテンを作りたいと思ったことをきっかけに、独学で学び始めました。藍染の豊かな表情と奥深さに魅了されました。

淳一さん洲本に移住後、知り合いから農地の一部を借り、畑で藍を育て始めました。雑草を抜いたり、真夏に葉を収穫したり、自宅の屋上で天日干しをしたりと、作業の大変さは想像以上(笑)。でも、その染液がいい色を出してくれたんです。初めて妻が作品を仕上げた時、「やった!」と二人で大喜びしました。

藍染作品の風合いは、お二人だから出せるもの。藍染作品だけでなく、洲本での暮らしも、少しずつ“自分たちの色”にすることで、充実した日々を過ごしています。

創作活動に取り組みながら、ここで自分たちに合った暮らしを

大浜海岸の砂浜からもよく見える、色鮮やかな壁画アート「OHAMA HEKIGA(大浜壁画)」

サリーさんは洲本市の地域おこし応援隊としても活動。2021年に完成した大浜公園防波堤の「OHAMA HEKIGA」は、地元高校生や有志とともに手掛けた色鮮やかな壁画アートです。

サリーさん洲本で暮らす人にとって親しみのある場所に、島の伝統やこれからの希望を込めた壁画アートを残せたことは、私にとっても誇りです。自然いっぱいの洲本で、のびのびと成長している子どもたちはもちろん、洲本のみなさんが愛着を持ってくれるような創作活動に今後も取り組みたいですね。

藍染作品に囲まれながら、子どもたちと一緒に。工房での藍染体験やワークショップを通して、「人と人のつながりも広がっています」と岡田さん夫妻

現在はWEBデザイナーと藍染の2つの仕事、さらに、よきパパとして育児にも日々奔走する淳一さん。最後に、これから移住を考えている人へのアドバイスを伺いました。

淳一さんインターネットなどで移住先の情報が簡単に手に入る時代ですが、移住前に少しでも現地で過ごしてみて、どんな街なのか、どんな暮らしができるのか、検討してみることをおすすめします。ぜひ一度、淡路島に足を運んで欲しいですね。私たちは淡路島に移住して、自分たちに合った暮らしや働き方を叶えることができました。みなさんの夢が叶えられる場所も、ここで見つかればうれしいです。

淡路島の天然藍染工房AiAii

ショップではTシャツ6800円〜7800円、ストール5000円など、岡田さん夫妻の藍染作品を販売。工房では藍染体験(1200円〜・要予約・1回4名まで)ができ、古着などを持ち込んでの体験もOK。

物件名淡路島の天然藍染工房AiAii/あわじしまのてんねんあいぞめこうぼう あいあい
住所洲本市海岸通2-3-19
交通神戸淡路鳴門自動車道洲本ICから約6km
電話0799-20-5252
料金・時間・休みショップ:金・土曜10〜17時(藍染体験は金・土曜以外でも受付)
定休日月〜木・日曜
駐車場なし
公式サイトhttps://aiaii.blue
※掲載の内容は2022年10月取材時点の情報に基づきます。変更される場合がありますので、おでかけの際は事前にご確認ください。
※料金はすべて取材時点の税込料金です。
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